2012年10月18日

Coffee Break歴史書417T列王記(4)バテ・シェバの直訴(T列王記1章15節〜21節)



 そこで、バテ・シェバは寝室の王のもとに行った。――王は非常に年老いて、シェネム人の女アビシャグが王に仕えていた――(列王記1章15節)
 バテ・シェバがひざまずいて、王におじぎをすると、王は、「何の用か」と言った。(16節)
 彼女は答えた。「わが君。あなたは、あなたの神、主にかけて、『必ず、あなたの子ソロモンが私のあとを継いで王となる。彼が私の王座に着く』と、このはしためにお誓いになりました。(17節)
 それなのに、今、アドニヤが王になっています。王さま。あなたはそれをご存じないのです。(18節)
 彼は牛や肥えた家畜や羊をたくさん、いけにえとしてささげ、王のお子さま全部と、祭司エブヤタルと、将軍ヨアブを招いたのに、あなたのしもべソロモンは招きませんでした。(19節)
 王さま。あなたのあとを継いで、だれが王さまの王座に着くかを告げていただきたいと、今や、すべてのイスラエル人の目はあなたの上に注がれています。(20節)
 そうでないと、王さまがご先祖たちとともに眠りにつかれるとき、私と私の子ソロモンは罪を犯した者とみなされるでしょう。」(21節)


 私たちは、バテ・シェバとダビデの問答を、ここで初めて聞くのです。第Uサムエル記11章で、ダビデに見初められたウリヤの妻バテ・シェバの印象は、映像のようにくっきりしています。なにしろ、家の屋上で水浴びをしていたのです。それは、王が夕方散歩をする王宮の屋上から丸見えの場所だったのです。ダビデは彼女のことを調べて、彼女を召し、床を共にするのです。彼女が人妻であることを知っていて、ダビデは、バテ・シェバを召したのです。たぶん、一晩だけの火遊びではなかったでしょう。妊娠がわかったとき、バテ・シェバは、人をやって「私は身ごもりました」とダビデに告げましたが、これは、伝聞の記録です。
 バテ・シェバの懐妊を知って、ダビデはただちに対策を練ります。それは、王の権力を駆使した卑怯な方法でした。バテ・シェバの夫を激戦地に送って戦死させるのです。(第Uサムエル記11章5節〜25節)
 バテ・シェバは一応夫のために喪に服したとありますが、喪の期間が明ければダビデは、彼女を妻として王宮に召すのです。もちろん、これは、主のみこころをそこなう大きな罪でした。(26節27節)

 一人の男女が出会い、性的関係をもち、結果、子どもができてしまい、結婚するのは、平凡な私たちの人生に重ねても、ドラマチックな出来事です。そこには、無限の情熱と無数のことばのやり取りがあり、葛藤や煩悶があったと思われるのです。しかし、この間に、バテ・シェバの心理をうかがい知る言葉は、何一つ記録されていません。最初の子どもが、ナタンの預言のとおり死んだとき、ダビデはバテ・シェバを慰め、彼女のところに入り、彼女と寝た(第Uサムエル記12章24節)とありますが、バテ・シェバがどのように悲しんだのかは、記録されていません。

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 アドニヤの即位を聞いて、ダビデに注進するバテ・シェバは雄弁です。「王さま。あなたはそれをご存じないのです」という言葉は、非難とも取れます。ダビデが全盛だったら、王妃たるもの、このような口調で王を非難するでしょうか。それから、王の王子が全部招かれた席に、ソロモンが招かれなかったと告げるのです。このタイミング、この強い口調は、母親として面目躍如と言ったレベルではありません。自分の息子だけが「カヤの外に置かれた」危機感を訴えているのではありません。はっきりと、権力闘争を引っ張る強い母親の姿が出ています。
 おそらく、ダビデの宮廷では、アドニヤを後継者として盛り立てる勢力が出来上がっていて、ソロモン派と対立していたのでしょう。それは、バテ・シェバとそのほかの王妃との暗黙の対立だったかもしれません。
 バテ・シェバはソロモンのあとにも、三人の息子を生んでおり、晩年のダビデの寵愛をひとり占めしていたとも推測できます。
 強い女バテ・シェバは、しかし、母性愛や権力欲だけで直進する女ではありません。

 彼女は答えた。「わが君。あなたは、あなたの神、主にかけて、『必ず、あなたの子ソロモンが私のあとを継いで王となる。彼が私の王座に着く』と、このはしためにお誓いになりました。(T列王記1章17節)

 彼女が、ここで言うセリフは、すでにナタンと打ち合わせ済みなのです。ナタンがすぐ後から入って来て、それを裏付けてくれることになっているのです。バテ・シェバは政治力もある女性です。






posted by さとうまさこ at 09:28| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする