2012年10月26日

Coffee Break歴史の書425 T列王記(12)穴に落ちる者(T列王記2章13節〜25節)



 ダビデの死後、ソロモン政権がスタートしました。 しかし、ソロモンにはしなければならないことがありました。父ダビデの遺言を執行することです。処罰を命じられていた人間は、ヨアブとシムイのふたりです。
 また、新政権のスタートに当たって、とうぜん国家組織や政権に携わる者たちを入れ替える必要がありました。また、新王ソロモンの足を引っ張りそうな者を、取り除かなければなりませんでした。

 あるとき、ハギテの子アドニヤがソロモンの母バテ・シェバのところにやって来た。彼女は、「平和なことで来たのですか」と尋ねた。彼は、「平和なことです」と答えて、(T列王記2章13節)
 さらに言った。「あなたとお話ししたいことがあるのですが。」すると彼女は言った。「話したごらんなさい。」(14節)

 彼は言った。「どうかソロモン王に頼んでください。あなたからなら断らないでしょうから。シュネム人の女アビシャグを私に与えて私の妻にしてください。」(17節)
 そこでバテ・シェバは、「よろしい。私から王にあなたのことを話してあげましょう」と言った。(15節)


 アビシャグは、最晩年のダビデのそばで仕えた美しい若い処女です。いくら夜着を着せられても暖まらなくなった老いたダビデを暖めるためにイスラエル中から探し出された女ですから、その役割はあきらかです。しかし、ダビデ自身にもう女性と交わる力がありませんでした。そう記録されているくらいですから、宮廷のだれもがアビシャグが処女のままであることを知っていたのでしょう。彼女の身分はどのようなものだったのか。たとえ、王と交わっていなくても、一度は王に召された女を、いくら美しくても、軽々しく「妻に欲しい」などと言うべきではなかったようです。

 
 彼女は言った。「シュネム人の女アビシャグをあなたの兄アドニヤに妻として与えてやってください。」(21節)
 ソロモン王は母に答えて言った。「なぜ、あなたはアドニヤのためにシュネム人の女アビシャグを求めるのですか。彼は私の兄ですから、彼のために、王位を求めた方がよいのではありませんか。彼のためにも祭司エブヤタルやツェルヤの子ヨアブのためにも。」(22節)
 ソロモン王は主にかけて誓って言った。「アドニヤがこういうことを言って自分のいのちを失わなかったら、神がこの私を幾重にも罰せられるように。(23節)
 私の父ダビデの王座に着かせて、私を堅く立て、お約束どおりに、王朝を立てて下さった主は生きておられる。アドニヤは、きょう、殺されなければなりません。」(24節)
 こうして、ソロモン王は、エホヤダの子ベナヤを遣わしてアドニヤを打ち取らせたので、彼は死んだ。(25節)


 アドニヤがシュネム人の女アビシャグを求めた真意は、どのようなものだったのでしょう。確かに、「父の妻と寝てはならない」と、律法の戒めがあります。(レビ記20章11節)しかし、アドニヤはまだ、アビシャグと寝てはいません。
 アドニヤの要求はむしろ、十戒の十番目の戒め「隣人の物を欲してはならない」への違反でしょうか。

 あなたの隣人の家を欲しがってはならない。すなわち隣人の妻、あるいは、その男奴隷、女奴隷、牛、ろば、すべてあなたの隣人のものを、欲しがってはならない。」(出エジプト記20章17節)

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 アドニヤは軽率な人だったようです。アドニヤは、自分が過去に、大きな反乱を起こしたのに王から許されたのを、いつも自覚しているべきでした。「保護観察中」のような立場だったのです。父王ダビデには、たくさんのそばめがいたのだから、その最後に加わった女性一人くらいかまわないと思ったのでしょうか。じっさいに、その美しさに「恋をしていた」のでしょうか。ヘブロンで誕生したアドニヤは、少なくとも三十代半ばは過ぎています。彼にも妻妾がいたでしょう。もう少し、彼に分別があったらと、評してみても仕方がないのかも、しれません。

 ダビデも歌っています。

   私の盾は神にあり、神は心の直ぐな人を救われる。(詩編6篇10節)
   神は正しい審判者、日々、怒る神。(11節)
   悔い改めない者には
   剣をとぎ、弓を張って、ねらいを定め(12節)
   その者に向かって、死の武器を構え、
   矢を燃える矢とされる。(13節)

   見よ。彼は悪意を宿し、
   害毒をはらみ、偽りを生む。(14節)
   彼は穴を掘って、それを深くし、
   おのれの作った穴に落ち込む。(15節)


 そうです。アドニヤは自分の掘った穴に落ちたのです。





posted by さとうまさこ at 09:40| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする