2012年10月27日

Coffee Break歴史の書426 T列王記(13)エブヤタル(T列王記2章26節〜27節)



 それから王は祭司エブヤタルに言った。「アナトテの自分の地所に帰りなさい。あなたは死に値するものであるが、きょうは、あなたを殺さない。あなたは私の父ダビデの前で神である主の箱をかつぎ、父といつも苦しみを共にしたからだ。」(T列王記2章26節)
 こうして、ソロモンはエブヤタルを主の祭司の職から罷免した。シロでエリの家族について語られた主のことばはこうして成就した。(27節)


 エブヤタルも数奇な物語の中で、登場してきます。彼は、祭司アヒメレクの息子のひとりでした。
 話は、Tサムエル記に戻りますが、彼がダビデの祭司になったいきさつを見ておきたいと思います。


 ダビデがサウルに追われる最初の頃は、居場所にもその日食べる物にも困窮する絶体絶命の状態でした。そこで、ダビデはノブの祭司アヒメレクのところに立ち寄り、食べ物を乞うたのです。(Tサムエル記21章1節〜9節)

 サウルとの不仲がすでに知れていたのか、アヒメレクはダビデの訪問を恐れましたが、聖所から下げたパンを与えました。さらに、ダビデが武器を乞うと、秘蔵していたペリシテ人ゴリアテの剣をも与えました。アヒメレクの好意で、ダビデは、なんとか丸腰状態を免れたのです。ところが、アヒメレクとダビデのこの一連のやり取りを見ていた者がいました。サウルのしもべで、エドム人のドエグというものです。祭司は、公的な仕事ですから、そのようにいつも人がその家に出入りしていたのでしょう。
 

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 ダビデの逃亡生活に、しかし、だんだん馳せ参じて来るものが増えました。ダビデの名声はすでに、イスラエル中に響いていたわけですし、ダビデの一族ではいわば「希望の星」だったのですから、その名を慕う者が集まって来るのは当然です。その数はたちまち四百人にもなっていました。(22章1節2節)
 集団が大きくなれば、隠れ住むことは出来ません。彼ら一団の居場所は、サウルの知る所となりました。
 サウルは、ダビデが部下をかかえた集団の首領になっていると聞いて怒り、自分の家来たちに檄を飛ばすのです。

 「聞け。ベニヤミン人。エッサイの子が、おまえたち全部に畑やぶどう畑をくれ、おまえたち全部を千人隊の長、百人隊の長にするであろうか。(7節)
 それなのに、おまえたちはみな、私に謀反を企てている。きょうのように、息子がエッサイの子と契約を結んだことも耳に入れず、息子が私のあのしもべを私に、はむかわせるようにしたことも、私の耳に入れず、だれも私のことを思って心を痛めない。」(8節)
 すると、サウルの家来のそばに立っていたエドム人ドエグが答えて言った。「私はエッサイの子が、ノブのアヒトブの子アヒメレクのところに来たのを見ました。(9節)
 アビメレクは彼のために主に伺って、彼に食料を与え、ペリシテ人ゴリアテの剣も与えました。(10節)
 そこで王は人をやって、祭司アヒトブの子アビメレクと、彼の父の家の者全部、すなわち、ノブにいる祭司たちを呼び寄せたので、彼らはみな、王のところに来た。(11節)


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 主の霊はサウルを離れ、主からの、わざわいの霊が彼をおびえさせた。(Tサムエル記16章14節)日、以来、サウルは、もう心の安定を失っているのです。ダビデは、その琴の音でサウルのわざわいの霊を離れさす(23節)ことができたのです。
 ところが、ダビデがゴリアテを倒し、ペリシテを敗北に追い込んだとき、凱旋の道々で、女たちが、「サウルは千を打ち、ダビデは万を打った」と囃したことがサウルの不安定な心に火をつけました。以来、わざわいの霊がサウルを支配し、サウルの心は、ダビデへの嫉妬、猜疑、不満、怒りでいっぱいになったのです。(Tサムエル記18章6節〜9節)

 
 サウルに呼ばれたアビメレクは、一族とともにサウルの前に出て来ました。祭司は、神の御前に出て、主のみこころを伺う立場なのですから、神政政治国家イスラエルでは、本来、王より立場が上です。
 ダビデに食料と剣を与えたことを咎められたアヒメレクは、少しも悪びれることなく申し開きをし、サウルに、意見さえするのです。

 
 アビメレクは王に答えて言った。「あなたの家来のうち、ダビデほど忠実な者が、ほかにだれかいるでしょうか。ダビデは王の婿であり、あなたの護衛の長ではありませんか。(Tサムエル記22章14節)
 私が彼のために神に伺うのは、きょうに始まったことでしょうか。決して、決して。王さま。私や、私の父の家全部の者に、汚名を着せないでください。しもべは、この事件については、いっさい知らないのですから。」(15節)
 しかし、王は言った。「アヒメレク。前は必ず死ななければならない。あまえもおまえの父の家も全部だ。」(16節)


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 この時、サウルは部下に命じて、アヒメレクの一族八十五人をその場で殺してしまうのです。それから、祭司の町ノブを、男も女も、子どもも乳飲み子までも、剣の刃で打った。牛もろばも羊も、剣の刃で打った(19節)のです。

 祭司一族を全滅させると言う無謀は、イスラエルでは前代未聞の暴挙だったでしょう。サウルが自滅への坂道を転がり落ちていくのがわかる出来事です。
 激しいサウルの攻撃の中、それでも、アヒメレクの息子一人だけが何とか逃れたのです。それが、エブヤタルでした。エブヤタルはダビデのところに逃げ延び、以来、ダビデの祭司となって働くのです。






posted by さとうまさこ at 10:17| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする