2012年10月28日

Coffee Break歴史の書427 T列王記(14)エブヤタルの失脚(T列王記1章5節7節、2章26節27節)




 ハギテの子アドニヤは、「私が王になろう」と言って、野心をいだき、戦車、騎兵、それに、自分の前を走る者五十人を手に入れた。(T列王記1章5節)
 彼(アドニヤ)はツェルヤの子ヨアブと祭司エブヤタルに相談したので、彼らはアドニヤを支持するようになった。(7節)


 アドニヤが自ら王位宣言をするとき、父ダビデ王は病床にあるとはいえ、まだ生きていたのですから、これは一種のクーデターです。クーデターなら当然、策略や武力が必要です。支持する者を集め、なんらの正当性や合法性を装わなければなりません。
 歴史を見れば、権力がクーデターで奪取された例はいくらでもあります。ちょっと思い浮かべるだけでも、武田信玄(晴信)の家督相続があります。信玄は、弟を可愛がり家督を弟に与えそうな父信虎を、駿河の今川義元のもとへ追放しています。もっとも、信玄の場合、弟信繁は信玄を尊敬していて、信玄といっしょになって父親を追放しているのです。つまり、信玄の政治力や人柄はアドニヤの比ではなかったのです。
 いずれにしても、「家督」とも言える王位は、庶民には考えられないような魅力的なポジションだったにちがいありません。
 
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 アドニヤは自分の政府のブレーンとして、祭司や将軍を備える必要がありました。エブヤタル、ヨアブに声を掛けたのは、彼らを有力だと思ったからでしょうか。それとも、すでに、長い年月の間に、アドニヤ派として、彼らは信頼関係にあったのでしょうか。
 祭司ツァドクと将軍ベナヤ、シムイなどに声を掛けなかったのは、彼らが、ソロモン、バテ・シェバ側にいると、はっきりしていたからでしょうか。
 権力が二つに割れるとき、どちら側につくかは生き残りを賭ける問題です。そのようなことは、アブシャロムの反乱を経験しているヨアブやエブヤタルはよくわかっていたでしょう。

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 それから、王は祭司エブヤタルに言った。「アナトテの自分の地所に帰りなさい。あなたは死に価する者であるが、きょうは、あなたを殺さない。あなたは私の父ダビデの前で神である主の箱をかつぎ、父といつも苦しみを共にしたからだ。」(T列王記2章26節)
 こうして、ソロモンはエブヤタルを主の祭司の職から罷免した。シロでエリの家族について語られた主のことばはこうして成就した。(27節)


 サウルの暴挙の中、ただ一人生き残ったアヒトブの子アヒメレクの子エブヤタルは、ここで失脚してしまいます。
 シロでエリの家族について語られた主のことばは、Tサムエル記2章27節から36節に記されています。エリのふたりの息子ホフニとピネハスの不正に対する神からの宣告です。
 エリは、サムエルが預けられたシロの聖所の祭司でした。
 エリの子ピネハスの子アヒトブの子がアヒメレクです。エブヤタルの父アヒメレクのとき、彼らはノブの祭司になっていました。そこにダビデが援助を求めて立ち寄り、そのいきさつから、アヒメレクの息子エブヤタルがダビデの祭司になったのです。
 しかし、アドニヤ事件で、エブヤタルは躓いてしまいました。このことを、聖書は、彼個人の失敗と言わず、シロでエリの家族について語られた主のことばはこうして成就した。と記録しています。

 祭司職は、同じアロンの血を引くツァドクに移されました。なお、エブヤタルの祖父とツァドクの父の名がともに、アヒトブですが、これは同名の別人です。(参照Tサムエル記14章3節、第Uサムエル記8章17節、T歴代誌6章1節〜7節) 






posted by さとうまさこ at 09:21| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする