2012年10月30日

Coffee Break歴史の書429 T列王記(16)ソロモンと異邦人の妻たち(T列王記3章1節)



 ダビデの遺言の執行と、粛清が終わると、いよいよソロモン王の治世がすべり出します。
 ヨアブの代わりに軍団長となったのは、ヘホヤダの子ベナヤ、エブヤタルの代わりに大祭司になったのはツァドクです。(T列王記2章35節)ソロモン王の側近や高官については、4章に詳しく出て来るので、その時にもう一度見たいと思います。

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 ソロモンはエジプトの王パロと互いに縁を結び、パロの娘をめとって、彼女をダビデの町に連れて来、自分の家と主の宮、および、エルサレムの回りの城壁を建て終るまで、そこにおらせた。(T列王記3章1節)

 ソロモンがパロの娘をめとったことが、この章の最初に書かれているのは、彼の隆盛の理由のひとつを語っています。ソロモンは、父ダビデから受け継いだイスラエルをダビデ時代の何倍も大きくし、豊かにしました。それも、平和的政治的な手段を用いました。その端緒になるのが、政略結婚だったようです。なにしろ、王妃としての妻七百人、そばめ三百人を数えた(T列王記11章3節)と言うのです。こんなきりの良い数字は概数かと思いますが、当たらずとも遠からずだった? 白髪三千丈式の誇張ではないでしょう。
 
 縁を結ぶというのは、現代のような時代でさえ全く見ず知らずの二つの家を結びつけるのです。また、見ず知らずの人間が結婚によって、経済(富)を共有するのです。歴史を通じて、豊かな家なら、娘に多額の持参金をつけて結婚させました。もちろん、受け入れる花婿側もそれ相応の待遇を用意して迎えるのですが、結果的に両方にとって「富む」ことになるのです。
 王家や貴族ともなれば、持参金は領地の様な国土の一部のこともありました。また、収税権のような権益が数えられることもあったでしょう。戦争をして殺しあうより、よほど平和的な共存のように見えます。

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 モーセの律法は、異邦人と縁を結ぶことを禁じています。
 それは、最初、出エジプト記で神が、モーセを通じてイスラエルに命じられたことです。

 あなたはその地の住民と契約を結んではならない。彼らは神々を慕って、淫らなことをし、自分たちの神々にいけにえをささげ、あなたを招くと、あなたはそのいけにえを食べるようになる。(出エジプト記34章15節)

 異邦の民との結婚は、モーセの決別説教の申命記でも念を押されています。

 彼らと互いに縁を結んではならない。あなたの娘を彼の息子に与えてはならない。彼の娘をあなたの息子にめとってはならない。(申命記7章3節)

 それでは、ソロモンは律法を犯しているのでしょうか。神の御心を損なったのでしょうか。神は、どうしてこれほど強く、純血主義とでもいうような律法を与えておられるのでしょう。

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 今日の常識から見ると、「愛は国境を超えるもの」です。国際結婚は別に罪でも異常でもないのです。
 じっさいのところ、イスラエルにおいても、ソロモン以前にも異邦人との結婚はいくらも行われていたことでしょう。その異邦人との結婚を、神がいかなる場合も禁止しておられたのでしょうか。

 私たちクリスチャンにはあまりにも有名な個所、マタイの福音書1章のイエス・キリストの系図を見逃すことは出来ません。そこには、イエスの家系として、二人の異邦人の女の名前があるからです。エリコの町の遊女ラハブはイスラエルの斥候サルモンと結婚して、ボアズを生み、ボアズがモアブ人ルツと結婚してオベデが生まれ、オベデがエッサイを、エッサイがダビデを、ダビデの末にイエス・キリストがお生まれになったのです。

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 出エジプト記や申命記で名指しされている異邦人は、いわゆるカナンの七部族です。イスラエル人が荒野を経て、これから入植しようとする土地に住む人たちです。神は、すでに罪が満ちているこれらカナン人をイスラエル人自らが滅ぼして入れと、強く命じておられるのです。神はイスラエルを、とくに選んで契約を結ばれ、神の律法が行われる国、その末に救い主を降誕させる国を立てようとされていたのです。唯一の神を知らない、ほかの神々(偶像)を拝む民と結婚すれば、弱い人間は、すぐにその異邦の神を拝む可能性があります。

 そうして、ソロモン王でさえ、けっきょくは、大勢の異邦の女たちがワナになったのです。
 

 神が戒めておられるのは、あなたがその娘たちをあなたの息子にめとるなら、その娘たちが自分の神々を慕ってみだらなことをし、あなたの息子たちに、彼らの神々を慕わせて、みだらなことをさせるようになる(出エジプト記34章16章)ことだったのです。



posted by さとうまさこ at 09:44| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする