2016年10月09日

エレミヤ書118 敗戦の混沌の中で(エレミヤ書40章6節〜16節)




 国王ゼデキヤと王子たち、側近や首長たちがバビロンに引かれて行ったあと、バビロン王の侍従長ネブザルアダンは、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤをユダの総督に任命しました。ゲダルヤは、ヨシヤ王の書記官だったシャファンの孫です。王族ではありませんが、ヨシヤ王の改革路線を引き継いでいたのでしょう。この一族がエレミヤの支援者であったのは、聖書からも推測できます。(エレミヤ書36章10節11節) 当然バビロンからも信頼されたのです。
 捕らわれ状態から開放されたエレミヤは、このゲダルヤのもとに行きました。

 そこでエレミヤは、ミツパにいるアヒカムの子ゲダルヤのところに行って、彼とともに、国に残された民の中に住んだ。(エレミヤ書40章6節)
 野にいた将校たちとその部下たちはみな、バビロンの王がアヒカムの子ゲダルヤをその国の総督にし、彼に、バビロンに捕え移されなかった男、女、子どもたち、国の貧民たちをゆだねたことを聞いた。(7節)
 ネタヌヤの子イシュマエル、カレアハの子らヨハナンとヨナタン、タヌフメテの子セラヤ、ネトファ人エファイの子ら、マアカ人の子エザヌヤと、彼らの部下たちは、ミツパにいるゲダルヤのもとに来た。(8節)
 そこで、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤは、彼らとその部下たちに誓って言った。「カルデヤ人に仕えることを恐れてはならない。この国に住んで、バビロンの王に仕えなさい。そうすれば、あなたがたはしあわせになる。(9節)
 私も、このように、ミツパに住んで、私たちのところに来るカルデヤ人の前に立とう。あなたがたも、ぶどう酒、夏のくだもの、油を集めて、自分の器に納め、あなたがたの取った町々に住むがよい。」(10節)

 総督ゲダルヤの方針は、占領軍バビロンに服従することでした。彼は、残っていたユダの民や、エルサレムの外にいたため捕囚にならなかった将校たちの中で、戦後の秩序を回復しようとしていたに違いありません。
 エレミヤの立場は、バビロンが選んだ総督ゲダルヤに従うことでした。そこで神の御声を聞きながら、捕囚の民が帰ってくるまでの国造りを構想していたのかもしれません。

 モアブや、アモン人のところや、エドムや、あらゆる地方にいたユダヤ人はみな、バビロンの王がユダに人を残したこと、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤを彼らの総督に任命したことを聞いた。(11節)
 そこで、ユダヤ人はみな、散らされていたすべての所からユダの地に帰って来て、ミツパのゲダルヤのもとに行き、ぶどう酒と夏のくだものを非常に多く集めた。(12節)
 さて、野にいたカレアハの子ヨハナンと、すべての将校たちは、ミツパのゲダルヤのもとに来て、(13節)
 彼に言った。「あなたは、アモン人の王バアリスがネタヌヤの子イシュマエルを送って、あなたを打ち殺そうとしているのを、いったい、ご存じですか。」しかし、アヒカムの子ゲダルヤは、彼らの言うことを信じなかった。(14節)

 モアブやアモン、エドムなどに逃げていたユダヤ人たちも戻って来て、ミツバにいたゲダルヤのもとに集まりました。
 荒れ果てたユダ王国ですが、ゲダルヤの元で新しい国づくりが始まりそうでした。

★★★★★

 敗戦がもたらすものは、たんに町や生活の荒廃だけではありません。何よりも、人の心を荒廃させます。それまでの権威が潰れて、価値観が根底からひっくり返るからです。平和な時には、人々の心の奥に眠っている残酷さや野心が頭をもたげます。

 せっかく、ゲダルヤが総督に選ばれて秩序が回復しそうなときに、ゲダルヤを倒して自分が支配者になろうとする者が現れるのです。
 それが、ネタヌヤの子イシュマエルでした。王族である彼は、アモン人の王の支援を受けて、自分が王になろうと思ったのでしょう。ゲダルヤを暗殺を企て、しかもその計画はすでに洩れていました。イシュマイルを、先手を打って始末しようという声も上がりました。

 カレアハの子ヨハナンは、ミツパでひそかにゲダルヤに話して言った。「では、私が行って、ネタヌヤの子イシュマエルを、だれにもわからないように、打ち殺しましょう。どうして、彼があなたを打ち殺し、あなたのもとに集められた全ユダヤ人が散らされ、ユダの残りの者が滅びてよいでしょうか。」(15節)
 しかし、アヒカムの子ゲダルヤは、カレアハの子ヨハナンに言った。「そんなことをしてはならない。あなたこそ、イシュマエルについて偽りを語っているからだ。」(16節)

 ゲダルヤは、とても良い人ですね。謀略を巡らせる人に、謀略で答えるのではなく、むしろ、イジュマエルのことを注進してきた者をたしなめるのです。その結果、彼は暗殺されてしまいます。







posted by さとうまさこ at 04:00| Comment(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする