2011年11月11日

Coffee Breakヨシュア記・士師記75 神の怒り(士師記2章12節〜16節)

 


 ヨシュアの死んだあとのイスラエルは、いわば「部族連合の国」でした。それ自体は、歴史的に珍しい社会体制ではないでしょう。士師記の時代から千五百年後の大和朝廷でさえ、部族連合政権でした。部族をまとめたのが大王(おおきみ)・・のちの朝廷(天皇)です。
 イスラエルの中心は、彼らをエジプトから導き出され、荒野を行かせ、約束通りカナンに入れて下さった創造主、アブラハム、イサク、ヤコブの神でした。
 「神が国の頂点にいらっしゃる」
 それ自体も、珍しくもなんともないと思われる人もいるでしょう。古代の国で神を祀らないような政体はあるものか。だいたい、王と言うのは神から任命されたか、神の子孫である。エジプトのパロ(ファラオ)のように、彼ら自身が神だとの認識もあった・・・。
 

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 イスラエルでは、人が、神であると称することは許されませんでした。神から権威や権力を委任された神の代理であるとの考えも、つぎのサムエル記の時代まではありませんでした。祭司はいましたが、祭司は神と民をつなぐ祭祀儀礼を司るために任命されるものでした。民のリーダーは、氏族や部族のかしらたちで、民の合意で選出されることもあったかもしれませんが、おおむね世襲的なものでした。
 イスラエル十二部族の連合体には、大和朝廷での大王のような中心的立場の地位はなかったのです。
 その上、カナンには、イスラエル人以外のたくさんの部族が存在していました。神は確かにこれら先住民をイスラエルに渡して下さったのですが、イスラエルは、多分、神のくださるものをすべて受け取るには、力不足だったのです。
 すでに鉄器を使っていたカナン人は、文化的にも軍事的にも強力でした。十二部族は相続地を分け与えられましたが、その多くは、ヨシュアの死後も戦いが続く場所でした。
 人間は弱い者です。勝てる戦いは戦うけれども、負ける戦いは妥協します。イスラエルの民のどれほどかが、カナン人と戦うより妥協を選んだとしても、そのこと自体は責められないように私は思うのです。妥協は、互いの価値観や文化を交換することになりますから、イスラエルに異教の神々が入ってきたとしても、不思議はないのです。
 もちろん、これは一般論です。

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 イスラエルには、人間の王はいないのです。王は神です。ですから、イスラエルの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神を捨ててほかの神を拝むのは、「王」を捨てることです。

 彼らはエジプトの地から自分たちを連れ出した父祖の神、主を捨てて、ほかの神々、彼らの回りにいる国々の民の神に従い、それらを拝み、主を怒らせた。(士師記2章12節)
 彼らが主を捨てバアルとアシュタロテに仕えたので、(13節)
 主の怒りがイスラエルに向かって燃え上がり、主は彼らを略奪者の手に渡して、彼らを略奪させた。主は周りの敵の手に彼らを売り渡した。それで、彼らはもはや、敵の前に立ち向かうことができなかった。(14節)
 彼らがどこへ出て行っても、主の手が彼らにわざわいをもたらした。主が告げ、主が彼らに誓われたとおりであった。それで、彼らは非常に苦しんだ。(15節)
  

 聖書の神に、私たち日本人が戸惑うのは、このような「神の怒り」を見るときかもしれません。私たちにとって、神様は、なごやかなで静溢なお顔の仏像に象徴される存在です。神社のように、厳かな静かさのむこうに、「何ものがおわしますかは知らねども」存在しておられる方です。日本では、神様はやさしく慈愛に満ち、どこか高い所から私たちを見つめておられます。世の苦しみや人の嘆きの声をお聞きになっているはずですが、それでは、と、いちいち動く方ではありません。そのため、怒りや懲らしめは、別の神様がおられるのです。仁王さまや閻魔大王は、「こわい神様」です。
 豊作を願い、飢饉を訴えるのは、別の神様。縁結びや子宝はまた別の神様。戦争のときはまた、また違う神様。こうして、神様の分業がはてしなく広がれば、多神教にならざるを得ません。

 同時に、そのような神様は、人間の必要と欲望が生み出すのですから、人間中心のものです。人間を神の上に置くと言ってもよいでしょう。そして、これこそが、神が一番嫌われるものなのです。
 偶像礼拝とは、人間の必要や欲望に神を従わせることです。
 さいわい、私たちが信じる聖書の神は、「主は、あわれみ深く、情け深い、怒るにおそく、恵み豊かである。主は、絶えず争ってはおられない。いつまでも、怒っておられない。 (詩103篇8節) 」のです。

 そのとき、主はさばきつかさを起こして、彼らを略奪する者の手から救われた。(16節)

 ここに、士師(さばきつかさ)の活躍が始まるのです。






posted by さとうまさこ at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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