2012年06月17日

Coffee Breakヨシュア記・士師記・ルツ記・サムエル記297 サウルの死を告げ知らせた者(第Uサムエル記1章1節〜16節)



 サウルとその三人の息子が戦死して、事実上サウル王朝は終焉しました。
 第二サムエル記では、ダビデはヘブロンに戻って、初めて公に即位し、ユダの王となります。ベニヤミンから北の地は、サウルの将軍アブネルが、サウルの遺児イシュ・ボシェテを立てて支配します。当然、両者の間には戦いが起こるのですが、最終的には、アブネルもイシュ・ボシェテも滅ぼされ、ダビデが全イスラエルの王となるのです。

★★★★★

 サウルの死後、ダビデはアマレク人を打ち破って帰り、二日間、ツィケラグに滞在した。(Uサムエル記1章1節)
 三日目に、突然、ひとりの男がサウルの陣営からやってきた。その着物は裂け、頭には土をかぶっていた。彼はダビデのところに来ると、地にひれ伏して、礼をした。(2節)
 ダビデは言った。「どこから来たのか。」彼はダビデに言った。「イスラエルの陣営からのがれて来ました。」(3節)
 ダビデは彼に言った。「状況はどうか、話してくれ。」すると彼は言った。「民は戦場から逃げ、また民の多くは倒れて死に、サウルもその子ヨナタンも死にました。」(4節)
 ダビデは、その報告をもたらした若者に言った。「サウルとその子ヨナタンが死んだことを、どうして知ったのか。」(5節)


 アマレク人の略奪隊から家族や財産を取り戻し、ツィケラグに戻って来ていたダビデのところにひとりの男がやってきました。彼は、サウル軍の敗戦を知らせ、サウルもヨナタンも死んだと報告します。

 報告をもたらした若者は言った。「私はたまたまギルボア山にいましたが、ちょうどその時、サウルは槍にもたれ、戦車と騎兵があの方に押し迫っていました。(6節)
 サウルが振り返って、私を見て呼びました。私が『はい』と答えると、(7節)
 サウルは私に、『おまえは誰だ』と言いましたので、『私はアマレク人です』と答えますと、(8節)
 サウルが、『さあ、近寄って、私を殺してくれ。まだ息があるのに、ひどいけいれんが起こった。』と言いました。(9節)
 そこで私は近寄って、あの方を殺しました。もう倒れて生き延びることができないとわかったからです。私はその頭にあった王冠と、腕についていた腕輪を取って、ここに、あなたさまのところに持ってまいりました。」(10節)
 すると、ダビデは自分の衣をつかんで裂いた。そこにいた家来たちもみな、そのようにした。(11節)
 

 この場面が、Tサムエル記の最後の情景と、食い違っているのははっきりしています。Tサムエル記31章では、サウルは道具持ちの若者に「殺してくれ」と言うのですが、道具持ちが恐れて尻込みしたので、サウルは自分で剣の上にうつぶせになって死ぬのです。ペリシテ人たちが、サウルたちを見つけてはぎ取ったのは翌日のことですから、遺体はしばらく放置されていたのでしょう。このアマレク人の若者は、この時、サウルの王冠と腕輪をはぎ取ったのです。彼が、最初からそれらを盗むつもりだったのか、証拠としてダビデのもとに知らせようと思ったのかは、記事を見るだけではわかりません。
 ギルボア山とツィケラグの間は、地図で見るだけでも百キロ以上ありますし、険しい山間地ですから、アマレク人が王冠と腕輪を手に入れると、すぐに決心して一路、ダビデのもとに走ってきたのは事実でしょう。
 しかし、この知らせは、ダビデを悲嘆に陥れました。とくに盟友ヨナタンの死はダビデを打ちひしがせました。

 ダビデは自分に報告した若者に言った。「おまえはどこの者か。」若者は答えた。「私はアマレク人で、在留異国人の子です。」(13節)
 ダビデは言った。「主に油注がれた方に、手を下して恐れなかったとは、どうしたことか。」(14節)
 ダビデは若者のひとりを呼んで言った。「近寄って、これを打て。」そこで彼を打ち殺した。(15節)
 

 せっかく、遠い道のりを重大なニュースを知らせに来たのに、殺されるなんて割が合わないと思われるでしょうか。じつは、私も最初はそのように思いました。たとえ、この若者が報奨金目当てであったとしても、彼には何か報いてやるべきではないのか。

 ここでのポイントは、二つあるようです。ひとつは、彼がサウルを殺したと言ったこと。もうひとつは、在留異国人だと言ったことです。
 自殺ほう助(嘱託殺人)のような行為であっても、神から油注がれている者を殺すべきではないと言うのが、イスラエル人の論理です。また、在留異国人はイスラエルの中にいる限り、さまざまな保護を受けているので、イスラエル人と同様に考えるべきだったのです。

 じっさいには、彼はサウルの自殺ほう助(嘱託殺人)については嘘をついています。在留異国人と言ったのもあやしいものです。
 ダビデは言います。

 「おまえの血は,おまえの頭にふりかかれ。おまえ自身の口で、『私は主に油注がれた方を殺した』と言って証言したからである。(16節)

 このアマレク人は、正直なところを言えば、あるいは殺されずに済んだかもしれないのです。




posted by さとうまさこ at 09:14| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/275652827
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック