2012年06月18日

Coffee Breakヨシュア記・士師記・ルツ記・サムエル記298 ターミナルケアと嘱託殺人(第Uサムエル記1章1節〜16節、詩編139篇13節〜16節)



 サウルの王冠と腕輪をもってサウルの戦死を告げ知らせに来た若者は、褒賞をもらうどころか、ダビデの命令によって殺されました。「主に油注がれた方を殺した」からです。
 イスラエルは、もともと神の恵みによって立てられた神聖政治国家ですから、国の頂点に立つ方は、神さま(主)なのです。この神の権威は、小さな人間世界に限定されるものではありません。神は、宇宙万物をお造りになり、人間をお造りになっていのちの息を吹き込んで下さった創造主なのです。被造物である人間が、ほかの何かに取り換えることができる種類の権威ではないのです。

 イスラエルの民が王政を望んだとき、サムエルにとって、それはとんでもない要求だったでしょうが、彼は主にお伺いを立てました。意外なことに、主は、民の要求を聞き入れるように仰せになり、王となる人物を選定して下さったのです。そうして、サウルが、つづいてダビデが選ばれたのは、すでに、書いてきたとおりです。聖職者(この時はサムエル)が、この神に選ばれた人物の頭に油をそそぐことから、神に選ばれる人を「油注がれる」と言うようになりました。

 絶対の神が、真実な権威を持って選ばれたのだから、油注がれた人物は、並みの人間ではなくなるのです。油注がれた方に従わないのは、神に従わないこと、油注がれた方を殺すのは、神の御旨を反故にする、神への反逆だと考えられたとしても、自然なことでした。
 ダビデ自身、サウルから追われて逃亡中に、サウルを殺す絶好のチャンスに遭遇しましたが、「油注がれた方に手を下してはならない」と殺害を止めたのです。

 
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 じっさいには、このアマレク人の若者はサウルを殺していないのに、「とどめを刺した」と申告したのです。
 嘘をついたことも、結果的に、彼に死を招いています。
 彼は、「(サウルが)どのみち助からないほどの深手を負っていたし、サウルの方からどめを刺してくれと頼んだ」と言ったのです。

 現代の私たちから見ると、彼のことばが本当だったとしても、彼が即刻殺されるほど、咎められるべきことではないように思えます(もちろん、刑法上、何らの制裁もないとは言えませんが)。今日、私たちはこの種の問題に直面しているからです。たとえば、病気が末期だと言われて回復の見込みがなく、本人が苦しんでいるだけの時、本人が望めば安楽死がありうるかというのは、もう三十年以上も前から議論されてきたことです。いまでは、薬物注射などで積極的に命を奪うのでなくても、延命装置一つ外すだけで亡くなる人もたくさんいるでしょう。ターミナルケアがかぎりなく進歩して、「生かされている」だけの人もたくさんいるのです。私たちは、「自分については、延命処置は最小で良い」などと言います。それでは、自分の愛する親族や友人について同じことは言えるかとなると、やはり、惑います。
 私たちは、サウルやダビデのように「油注がれている」わけではありませんが、しかし、人間はみな、もっと根源的な地点で神が関与して下さって、生まれて来たものだからです。

 最初の人間アダムに神がいのちの息を吹き込まれて、生きるものとされたのは、聖書に書かれているとおりです。(創世記2章7節)しかし、アダムから数えて、何万世代目かわからない私たちも、神がお造りになった「神の作品」なのです。延命装置の助けを借りているとは言え、げんに、ある人が「生きている」場合、それを外すことをためらうのは、命の神秘と厳粛さを私たちが「知っている」からではないでしょうか。神を信じていないと言う人でも、神のわざを本能的に感じ取っているのではないでしょうか。
 
 聖書には、神様が私たちをお造りになった記録、神のわざへの賛美と畏敬の思いが、たくさん記をされています。


   それはあなたが私の内臓を造り、
   母の胎のうちで組み立てられたからです。(詩編139篇13節)
   私は感謝します。
   あなたは私に、奇(くす)しいことをなさって、
   恐ろしいほどです。
   私のたましいは、それをよく知っています。(14節)
   私がひそかに造られ、地の深い所で仕組まれたとき、
   私の骨組みはあなたに隠れてはいませんでした。(15節)
   あなたの目は胎児の私を見られ、
   あなたの書物にすべてが、書きしるされました。
   私のために作られた日々が、
   しかも、その一日もないうちに。(16節)





  聖書は新改訳聖書を使わせていただいています。


posted by さとうまさこ at 08:48| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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