2012年10月23日

Coffee Break歴史の書422 T列王記(9)ダビデの遺言2(第Uサムエル記3章6節〜30節、T列王記2章5節)




 私たちは、やりたいこと、思ったことを即実行に移していては、社会生活はできません。
 自分の乗るバスが道路の向かい側に停まっていて、乗客がまだ乗り込んでいます。私は駆けて行けば乗れるはずです。でも、信号が赤なので待っていなければなりません。やっと信号が青になったときには、バスは発車して目の前を通過して行きます。あと二十分待たなければ、次のバスはきません。えらく損をした気分になります。さりとて赤信号を渡るわけにはいきません。もし、私の違反で、車が私と衝突するようなことがあったら、私の運命だけでなく、何の罪もない見ず知らずの人の運命を狂わせてしまうでしょう。

 ある方が息子の嫁から、日傘をプレゼントにもらったそうです。ブランド物の包み紙に包まれていかにも高級そうです。ところが開けて見ると、箱の中には、小さなカードが入っていたのです。それは息子の嫁宛てで、署名は見ず知らずの女性の名前でした。お嫁さんは誰かからの贈り物を、中身も確かめず、「母の日の祝いとして」姑にまわしたわけです。このお母さんは相当気の強い人でしたが、それでも、この屈辱に対して、嫁に直接それを言うことができませんでした。もし言えば、嫁が息子に一戦を交えるのは見えています。このお嫁さんが特別ひねくれた人でなくても、このような場合に、反論の材料に事欠きません。忙しくて買いに行く暇がなかったのよ。あなたの給料が少ないから、あたしだって工夫しているのよ。すっごく高級品だから、お母様に差し上げたのに叱られるの。

 私たちの取るに足りないような私生活でさえ、さざ波が大波を呼び、嵐になるかもしれないとしたら、仕事関係や政治などの大きな社会関係が、怪異なものとなるのはとうぜんかもしれません。

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 また、あなたはツェルヤの子ヨアブが私にしたこと、すなわち、彼がイスラエルのふたりの将軍、ネルの子アブネルとエテルの子アマサとにしたことを知っている。彼は彼らを虐殺し、平和な時に、戦いの血を流し、自分の腰の帯と足のくつに戦いの血をつけたのだ。(T列王記2章5節) 

 ヨアブが、アブネルを殺した記事は、第Uサムエル記3章26節27節に出ています。3章の初めから読んでいくと、その経緯がよくわかるのです。アブネルは、サウルのいとこで将軍でもありました。サウルとその息子たち三人が戦死した後のサウル王朝で、サウルの遺児イシュ・ボシェテを盛り立てて、イスラエル十部族の国を建てようとしていました。
 すでにユダとシメオンは、完全にダビデの勢力下にあったからです。ところが、肝心のイシュ・ボシェテは、ヨアブの台頭を警戒し、ヨアブがサウルのそばめの一人と寝たようなことを咎めるのです。
 イシュ・ボシェテを見限ったアブネルは、みずから、ダビデと会い、自分と盟約を結んでくれれば、イスラエル十部族とともにダビデ王朝に合流しようと持ちかけたのです。
 和議は成立し、アブネルは安心してダビデの元を辞しました。そのことを、あとで聞いたヨアブは、追いかけて行ってアブネルを呼び戻し、城門の陰でだまし討ちして殺してしまうのです。

 この事件を、聖書は、ヨアブはその兄弟アサエルがアブネルに殺された仇を打ったのだと説明しています。(第Uサムエル記2章22節) けれども、それはヨアブ側の理由なのでしょう。ダビデは、ヨアブのしたことをのろったと記録されています。

 私にも私の王国にも、ネルの子アブネルの血については、主の前にとこしえのまでも罪はない。(Uサムエル記3章28節)
 それは、ヨアブの頭と彼の父の全家にふりかかるように。また、ヨアブの家に、漏出を病む者、ツァラアトに冒された者、糸巻をつかむ者、剣で倒れる者、食に飢える者が絶えないように。」(29節)


 このようにのろった相手を、ダビデは、自分が死ぬまで部下として使い続けるのです。少なくとも三十年くらいの間です。
 ここには、かつて、ゴリアテの前に信仰と愛国心だけで出て行った一途な少年の姿はありません。
 ダビデは、王朝の未来、息子ソロモンの王座の安定を、何より重視する老練な政治家になっています。
 





posted by さとうまさこ at 10:02| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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